いまさらながら、なのだけれど。知人との会話で盛り上がったものだから。
数年来、ささやかながら、妻と「ホテルで朝食プロジェクト」というのをやっている。といっても、他愛のないもので、朝、ちょっと早めに家を出て、ホテルで朝食を食べて、その後、なにがしかの活動をする、というだけのもの。
例えば。
朝、6:00ごろ家を出て、箱根に向かう。芦ノ湖湖畔のプリンスホテルで朝食ブッフェを食べる。ゆっくりコーヒーのおかわりをして、食後、湖畔を散歩。強羅のポーラ美術館へ。開場と同時に入場して、ゆっくり鑑賞。昼食は抜き。湯本に降りて、日帰り温泉に入浴。軽くお茶して、夕方のうちに帰宅。
横浜のホテルニューグランドで朝食ブッフェ。その後、トリエンナーレをゆっくり鑑賞。
葉山のホテル音羽の森で朝食プレート。サラダに虫が入っていて、お詫びの印に自家製ジャムを頂戴。金沢シーサイドパラダイスで癒やしの一時。アウトレットに立ち寄って帰宅。
といった塩梅。
旅行で旅館やホテルに泊まる楽しみを突き詰めていくと、朝食の時間帯、というのの比重が結構高いように思う。非日常というか、悠久の時、というか。すごくゆったりした気分を味わえる。しかし、一般的には、一流の旅館やホテルの宿泊料金は決して安くない。朝食だけでも、と思っても、旅館では実現できそうもない。というわけで、ホテルで朝食。
じつは、このプロジェクトを思いついたのには、伏線がある。
ずうっと以前、小学館からジャストシステムに転じたばかりのころ。かなりの頻度でアメリカのいわゆるベイエリアに出張していた。そのころは、まだジャストシステムにも勢いがあって、旅費も潤沢だった。で、定宿にしていたのが、エル・カミーノ・レアル沿いでスタンフォード大学近くのスタンフォード・パークホテル。ちょっとスノッビーなホテルで、チェックアウト時など、ピンストライプのスーツにアタッシュケースでびしっと決めたベイエリアではめずらしいようなビジネスマンが階段を降りてくる感じ。
ウィークエンドを挟んで滞在しているとき、日曜日の朝食の時間がちょっと遅くなると、ダイニングがすごく混んでいる。それも、明らかに滞在客ではない地元の人たち。ちょっとドレスアップして、ゆったりと食事している。この光景がとても印象に残っている。ああ、こういうのをブランチって言うんだ、みたいな。もしかしたら、教会のミサか礼拝の帰りかも知れない。泊まり客でなくても、ホテルで朝食を食べたっていいんだ。
子供たちが独立し、夫婦で自由に過ごせる時間が増えてみて、以前の光景が蘇った。今なら、実行できる。
べつに、頻度が高いわけではない。まあ、年に一二度といったところ。でも、その充実感とリフレッシュ度は半端ではない。朝早くから動き出すし、道はすいているし、昼食抜きになるし(特にブッフェだとついつい食べ過ぎるので、昼食を食べたくても物理的に無理だったりするし)。時間が有効に使えるし、比較的早い時間に帰宅できるし。
今度は、どこのホテルに行こうかな。