NINAGAWA十二夜

七月大歌舞伎、NINAGAWA十二夜を見た。(7月26日、昼の部)
意外なことに、蜷川幸雄が歌舞伎の演出をしたのは初めてとのこと。
ぼくたちのすぐ後ろの席に、翻訳者の小田島雄志先生がいらしていて、ぼくは、学生時代に教室の片隅で謦咳に接したことがあるものの、先生が覚えておられることなどあろうはずもなく、一方的に少し居心地の悪い思いをしたわけだけれど。
劇そのものについては、まあ、素人がどうのこうのと言うこともないと思うが、ぼくには心底から楽しめた。
この貪欲さというか、冒険をおそれない大胆さというか、歌舞伎が過去のものではなく、現代に生きている演劇だということを痛感した。
先日、ベルリンのシュターツオパーで感じたオペラの伝統といったことが、東京の歌舞伎座で、全く同じように息づいていることに、ぼくはちょっと誇らしい思いを抱いたのだった。

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