香港:生記茶餐庁

漢字コードの会議で、香港に来ている。

香港には旧知の保坂英子ちゃんが住んでいる。30年来のまさに家族ぐるみの付き合い。彼女は、今、香港シンフォニエッタというオーケストラでヴァイオリンを弾いている。近ごろ、オケの同僚ヴァイオリニストと華燭の典を挙げた。ぼくは、妻と共に、香港での結婚式にも、横浜での結婚式にも列席の栄に浴した。

で、今回は、ホテルに着くなり、英子ちゃんにメールを出して、ホテル近くのおいしい店の情報を教えてもらった。

昨晩、会議に出席した日本のメンバーとともに、そのうちの一軒、生記茶餐庁に行った。

行く前に、ホテルのコンセルジュに場所を聞くと共に、予約を頼んだら、

「歩いても15分ほどですが、迷うといけないので、タクシーでお行きください。5分ほどです」

「予約?地元民が行く店ですから、予約のしようもありません」

とのこと。行ってみて、理由が分かった。

6時開店なのに、少し早く着いてしまって、店の前で待たされた。

葬儀場や葬儀関係の品物を売っている店が固まっているあたりの、すぐ隣のブロック。何軒かの飲食店が並んでいるが、みな小さくて小汚い。いすもプラスティックでできた屋台風。待っている間に、入り口にビニールのすだれのようなものが掛けられたりしてね。英子ちゃんの推薦がなければ、決して入る勇気は湧かないだろう。それどころか、このような界隈に迷い込むこともなかっただろう。

幸いなことに、ビールも置いてあった。

メインは、カニやハマグリのおかゆ。それに、さまざまな、點心風の魚介類。

英語は通じないので、メニューの写真と漢字を頼りに、四苦八苦して注文した。

最初は、カニのおかゆに、小魚のフライ、揚げ春巻き、小さなカキのモチモチした春巻き風。

おかゆの最初の一口から旨かった。おかゆという食べ物の概念が根底からひっくり返るような。

一緒に行った仲間は若い人が多かったので、皿は、あっという間に空になった。

追加を頼もうと思って、メニューを挟んで店の親父さんに何がお勧めかを聞こうと思ったが、どうにも、らちがあかない。

見かねて、店にいたカップルの男性がきれいな英語で助けてくれた。

その男性のお勧めが、素晴らしかった。一つは、大きなマテ貝(Bamboo Clamと言っていた)のガーリック風味。もう一つは、白身魚のすり身をマッシュポテトを細くヌードル状にしたもので巻いて揚げたもの。これが絶品だった。世界中のどんなレストランに出しても通用する。

みな、心から満足した。マテ貝がサイコーだったという仲間が多かった。

帰りがけに、助けてくれた男性にお礼を言った。

香港では、bo inovationというミシュラン★のレストランに行ったことがある。英子ちゃんの結婚式の時も、お母さんの保坂ふじ子さんや妻と一緒に行った。

bo inovationの話をして、もちろんものすごくおいしいけれど、この店もものすごくおいしかった、と言った。

男性は、「そうでしょう。香港でもとても有名な店ですから」と誇らしげに答えた。彼と堅く握手した。

店の親父さんと若い店員(息子?)の笑顔に送られて、店を出た。後味が、さらに深まったような気がした。

英子ちゃん、ありがとう。

 

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