二期会のマクベス

2013年5月4日。東京文化会館。
幸子と二期会のマクベスを観る。
素晴らしい出来栄え。何といっても、ペーター・コンビチュニーの演出が秀逸。
指揮のアレクサンドル・ヴェデルニコフも良かった。音楽に大きな流れがある。曲と曲との間がスムースにつながっていて、オペラ全体を一つの音楽として聴かせようという強い意思が感じられる。
それでいて、コンビチュニーの斬新な演出を妨げず、総合芸術としてのオペラを演出家とともに作り上げて行こうという姿勢も鮮明だ。例えば、三幕の最後、オーケストラの響きにマシンガンの連射音が被さる。幕切れでは、ラジオから流れる録音が、オーケストラに取って代わる。どちらも、音楽を聴かせたい指揮者とオーケストラにとっては、それほど気分のいいものではなかろう。ぼくも、アマチュアとしてではあれ、何度もオーケストラピットに入ったことがあるので、そのような気持ちが分からないわけではない。しかし、ヴェデルニコフは、オペラ全体のまとまりを優先することに迷いはないのだろう。
歌手陣にも合唱にも大きな破綻はなかった。拍手も全般に控えめ。静かに終わる合唱のところで、ちょっとした破綻があったけれど。
今年は、ヴェルディイヤーということで、日本でも多くのヴェルディ作品が上演される。多くは、外来のプロダクションであれ、日本の団体であれ、椿姫やトスカといったポピュラーな名作が目白押しだ。そうした中で、必ずしもポピュラーとは言えない作品を、これだけの質で堂々と上演した二期会に心からの敬意を表したい。

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