カナダとアメリカ(ナイアガラで考える)

カナダのトロントに来ている。もう、7泊している。
Unicode Technical CommitteeとISO/IEC JTC1/SC2/WG2、SC2総会が続けてあって、今回は、ちょっと長めの出張。
しかし、何と言っても、トロントには、カトリック戸塚教会で10年以上も親しく司牧を受けたカーテン神父がいる。だから、トロントで会議があると分かって、妻の幸子も同道して、カーテン神父と会うことをとても楽しみにしていたのだった。
週末、カーテン神父の案内で、ナイアガラの滝に行った。ぼくは、地理的理解力が決定的に欠如していて(要は天性の方向音痴)、ナイアガラの滝がどこにあるかもおぼつかなかったのだけれど、実際、目前に滝を見て、川の向こう側がアメリカだと聞かされると、妙な納得感があった。
「ああ、国境なのだ」
トロントには、アメリカのシカゴ経由で入った。シカゴでは、一旦アメリカへの入国手続きをし、荷物の入念な検査を受けた。9.11以来、空港での安全検査は異様に厳しいものがあるが、その厳しさが、隣国カナダとの間にさえ及んでいることは、いささか驚きでもあった。
カーテン神父の話によると、アメリカ市民のパスポートを持っていても、特にアラブ系の人たちは、不当に厳しい検査にさらされている、という。
トロントで特に目に付いたのは、centreというスペリング。イギリス式。しかし、全般的に発音は、イギリス風というよりも、むしろ、アメリカ風に近いように思えた。
ああ、ここはアメリカではなくてカナダなのだ。この微妙な違いが、カナダの立ち位置を象徴しているように思えた。
トロントは、公園の中に町がある、といった風情で、なにしろ、緑と湖に囲まれた町なのだが、広大な国土の中に日本の四分の一ほどの人口しか住まず、GNPも5分の一ほどなのに、何かアメリカとは全く違った豊かさを感じさせる。
う~ん、カーテン神父の母国カナダについては、いろいろ考えることがありそうだなあ。
フランス語圏の問題もあるし、多民族、多言語の問題もあるし。

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