- タイトル:ワーグナー:歌劇「タンホイザー」
- 開始日時:2007-03-24 15:00
- 終了日時:2007-03-28 20:00
- 場所:横須賀芸術劇場
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音楽監督/指 揮 小澤征爾
演 出 ロバート・カーセン
出 演 タンホイザー ステファン・グールド
エリーザベト ムラーダ・フドレイ
ヴェーヌス ミシェル・デ・ヤング
ヴェルフラム ルーカス・ミーチェム
領主ヘルマン アンドレア・シルベストレッリ
ヴァルター ジェイ・ハンター・モリス
ビーテロルフ マーク・シュネイブル
ハインリッヒ 平尾憲嗣
ラインマール 山下浩司
ほか
管弦楽 東京のオペラの森管弦楽団
合 唱 東京のオペラの森合唱団
装 置 ポール・スタインバーグ
衣 装 コンスタンス・ホフマン
照 明 ロバート・カーセン/ペーター・ヴァン・プラット
振 付 フィリップ・ジュラウドゥ
さてと。小澤征爾の指揮を生で聴いたのはいったい何年ぶりだろう。そして、オペラは?
もう四半世紀ほども前に、ヴォツェックを聴いたのを覚えている。演奏会形式+アルファのやり方。ステージにオーケストラが乗っており、その上に足場を組んだりして、歌手はある程度の移動と演技を行う形式。たしか、あのときも暗譜だった。今回も。
演出は、第一幕こそ、ヴェーヌスがヌードで登場したと思ったら、バッカナールでは多くの男性がこれまたセミヌードで登場して、ボディーペインティングもどきをやらかしたりして、ぎょっとさせられたものの、第二幕以降はオーソドックスな現代風演出(語義矛盾だねえ)で安心。大団円など、いささか拍子抜けするような浄化場面で、演出のロバート・カーセンが世界的に人気を博するのも納得。
歌手も粒がそろっていて破綻がなかった。ヴェーヌス役のミシェル・デ・ヤングが第一幕で足を怪我し、第三幕では代役が演技を、本人が袖で歌唱を、といったアクシデントがあったが、それもご愛敬というか、事故があってのオペラの楽しみみたいなもので、本人にはかわいそうだったが、舞台と客席の間を埋めるポジティヴな働きをしていた。(客席の一部を利用した演出も好感が持てた)
しかし、何と言っても、このオペラはオザワのオペラなのだ。パリ版を用いて、序奏から延々と続くバッカナールに入って、まずはたっぷりオーケストラを楽しんだところで、やっと歌が聴けるというところもそうだし、第二幕の有名な歌手たちの入場場面もそうだし、なにしろ、オーケストラがめっぽううまい。4階席の一番前で聴いたこともあって、オーケストラの音の分解能がとっても高くって、個々のメンバーの名人芸がよく聞こえるの。オザワがオケ鳴らしのとびきりの名手だということも、あらためて思い知らされた。でも、これってオペラなのだろうか? いや、そんな疑問を持ってもいけないのだろう。オザワが完全に掌握したオーケストラと歌手陣と合唱が、一丸となって押し出す音の洪水に、抵抗することなく身を委ねて包み込まれる。そんな楽しみ方をすればいいのだ。
この劇場は、音響もいいし、ヨーロッパの歌劇場のように二階席以上がバルコニー作りになっていることも好感が持てる。しかし、ロビーのトイレと喫茶コーナーの動線の悪さや駐車場に降りるエレベーターが一基しかないことなど、客席の扉の外の作りは、いささか興を削がれる。音楽を聴くというのは、前後の食事やホールに向かう道すがらの会話なども含めた時間の流れがあってのことだと思うのだけれど。
そういえば、歌舞伎座だって、舞台がはねた後の余韻が、地下鉄に降りる階段のところで、ブッチリと断ち切られてしまうのは、もうすこし、何とかならないかなあ。暖かくて時間に余裕があれば、新橋までぶらぶら歩いて帰る、っていう手もあるけれどね。
小澤征爾は、夏にカルメンも振る。琵琶湖ホールに出向いて、オーベルジュに泊まって、なんてことも考えていたけれど、同じ日に弥勒忠史さんプロデュースのオペラ宅配便があるので、今年はパスに決定。神奈川県民ホールで聴こうかどうか迷い中。
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